原2使い名鑑・FILE 1 「京都の青い星」!

 

 
究極の原2仕事人・反動バックの鬼「京都の青い星」とは?

トライアル界でエディ・ルジャーンがスタンディング&バックで一世を風靡した80年代、なんとそれ以前にもっとスゴイヤツがおった!とその筋では有名だったおっさんである。

当時のラジオで浜村淳がよく紹介していたらしいが、なぜかマシンは当時でさえ年代物のオンボロの空冷DT90であった。

ギネス未公認だが、何mでも反動バックできると言うおっさんの正体とは?!

「わしが世界一」

京都の街中、信号待ちのバイクを見つけてはスタンディング勝負を挑んできた”京都の青い星”こと、M・T氏は当時の雑誌インタビューにて、「ルジャーンが世界で初めて反動バックをやったみたいなこと言われているが私は一年前から着手し、すでに”青い星ターン”や”青い星の花びら”等の各種の技を体得している。」と豪語した。
(追記:筆者の知る限りではもっと昔、万沢康夫氏のトライアル本のなかで、「ベステリネンはなんとセクション内でバックできるのだ!」 と書いてあった記憶がある。これは70年代の世界チャンプ、ウーリャ・ベステリネンのこと)

マシンはダンパーの抜けたDT90、全長2000mmのマシンを1700mmの平行線内で一度も足を着かずに180度方向転換する”青い星ターン”、前後30〜40cmの範囲で連続切り返しすることにより前後輪の軌跡がサイクロイド模様を描く”青い星の花びら”など驚異のテクニックで、当時の全日本トライアルチャンプ・山本昌也氏をして、「あのおっさんには負ける」と言わしめた。

 

今は無きトライアルジャーナル誌に元全日本トライアルチャンプ・黒山一郎氏によるおっさんの技術的解説が掲載されていたのでここに抜粋しておく!。(以下)

キャスター角の寝ている切れ角のまったく無いヤマハDT90でスタンディングをやるのであるが、彼のマシンでのスタンディングに山本昌也、工藤靖幸そして私他も挑戦したが、従来の(ハンドルを切った状態の)やり方しか出来ない我々はバランスをとり停止することがまったく出来なかった。
原因は唯ひとつ、それはバランスを崩すとすぐにハンドルで修正しようとするので切れ角がロードレーサー並のDT90では修正しきれないのである。
彼の場合、ハンドルは少し左右どちらかに切っているだけでバランスはステップにかける力の配分と体の微妙な動きで必死にとっている。これでもこらえることのできない崩れは、ハンドルでの修正が期待できないのでマシンをほんの少し前へやって修正しなおしている。前へでた分は得意の反動バックで取り戻しているのだ。フロントブレーキは全然使用しない。

(TRIAL JOURNAL 1985/2月号より)


我らが空冷編集スタッフはおっさんの必殺技「青い星の花びら」を GIF アニメーションで Web 上に再現すべく今、準備中であることを付け加えておく!