マッハスリーへっぽこトラブル捕物帖

 

ファイル10 「入信」

 

 

私は 10年間ガレージで寝かせていたH2を レストアし 今年のトリプルミーティングに参加しようと考えている単なるマッハファンであるが 少しずつ手を入れて 車検も収得したにもかかわらず 不満がつのるようになってきた。
私のH2は 私のイメージと異なり ケムリが少ないのである。 キャブレターの調整が終わり クランクケース内温度が上がれば きっと調子良く あの モクモクが帰ってくると信じていた。 しかし 依然としてケムリが少ないのである。
この時ばかりは オイルポンプの調整が悪く 吐出量が少なくなっているというマッハによくありがちなトラブルであれば 笑ってマッハを赦してやろうと思った。 しかし調整は皮肉なことにバッチリだった。
少しずつ仕上がっていくH2を尻目に 実は心の底で マッハに対する愛情が冷えていくのに気が付いていた。 いや そんな気持ちに気が付かないようにしていたのだ!

マッハに回す資金が底をついて とうとう引越しのアルバイトに手を出すようになりくたくたの身体で愛情が冷えていくマッハを触る暗黒の日々であった…が!

 

私のもとに宅配便が届いた。 差出人は 光明寺博士とある。
自分で自分のことを はかせと呼ぶバカは ショッカーの死神博士と オバQのお友達のハカセぐらいだろうから これは こうみょうじ ひろしとお読みするに違いない。 見るからにいかがわしい。
 
中を開けると ビニールにぐるぐる巻きにされたビデオテープが入っていた。

一見して 映画のビデオソフトのようだったが よく見れば違う!明らかにパチもんだ! クーブリックの名作映画ではないのだ!
 

 

光明寺博士の異常な愛情

又は私は 如何にして焼き付きを心配するのを止めて 赤オイルを・愛する・ようになったか

STRANGE LOVE OF Dr.KOMYOJI
Or:How I Leared To Stop Worrying And Love The Red Oil

 

このビデオを デッキに入れて再生したが 私は画面に吸い込まれるように没頭した。
 
 
光明寺なる人物は 私の欲求不満は すべて青オイルを入れていることによると指摘してきた。 マッハは今では品質劣悪とされている赤オイルを標準として作られたものなので すべては赤オイルを中心として計算されている、エンジンスペックや その他すべての値は赤オイルを入れて出された値であるというのだ。
これはサービスマニュアルマニアの私の脳天に突き刺さった。 さらには ケムリで後ろが見えないとかマッハの後ろは走れないとかいった当時の伝説もすべて赤オイルによるものであると…。
 
さらに信じられないことに 彼は焼き付いたマッハはすべて青オイルを入れていたものだとまで論ずるのである。 なんでも 赤オイルよりも青オイルは粘調度が高いのでオイルポンプの吐出量が少なくなり それによって焼き付くのだと データー数値まで書いてあったのだ。 最後は 赤を入れないマッハはマッハではない、すぐに赤オイル党に入信せよと強気の発言で締めくくられていた。 時計仕掛けのオレンジの ビジュアル拷問のようだった。
このビデオにサブリミナル洗脳された私は 知らず知らずに赤オイルがどこで手に入るか探してしまっている。 このビデオの真偽はともかく これで私のフラストレーションが解消されれば…。

(茨城県 ゆきかず)


傾向と対策



あなたのところにも来ましたか あのビデオ。
 
あの光明寺なる男は 赤オイル党と名乗る危ない集団の宣伝塔ですので マトモに相手をしてはいけません。 そのバックには もっと恐ろしい魔人斉藤がついています。 魔人斉藤は 環境団体から抹殺指令が出るほど危ない男です。 何故に赤オイルを使うと煙が出るかというと 純度が低く不純物が多いことにつきます。 よって青より安い筈が 今ではあまり作られていない(噂ではメーカーのストックのみしか存在しない)ので バーゲン品の青オイルよりも高いそうです。 2ストロークの環境破壊を危惧し クリーンな燃焼を目指し 開発されたものが青オイルです。
  

現在売られているCCISは CCISの青版である。今では赤CCISの姿は殆ど見られないが これは 赤オイル党の買い占めによるものかもしれない。

これが一番安全でかつ ケムリが出て最高!

 

粘調度が高いことで焼き付きにくくなっている筈なので 青が焼き付きやすいと言うのはマユツバです。 混合比が少なくてもよいオイルの方が絶対に安全である筈です。
高性能オイルを入れることにより 環境にも良く 地球に優しい筈であるので 2スト車の生き残りにも関係する大事なこととして赤オイルをお勧めすることは出来ません。

 

これは 赤オイル党のなかでも 恐れられている一品。 バッタ屋でよく売られているのを見かけるが その安さが恐ろしく マッハに入れるのはなんぼなんでもリスキーだ。

しかし 赤オイル党九州支部員が これを使用し
200キロをマークしたという未確認情報もあり。


 

だいたい光明寺は 内燃機屋であるので 赤オイルを普及させ シリンダーやクランクの焼き付きを推し進め 商売にしようとしている可能性があります。
すべてはクランクシャフトや シリンダーに対する彼の異常とも言える愛情から来たものかもしれませんが なにごとも過ぎたるはなんとやらです。
 
怪しい勧誘は避けて 楽しいマッハライフを!

 
 


 
それでも赤!というひとには

日石が三菱と合併した際に無くなるのではないかと冷や冷やしたが 全然問題なく売られている。

これは 日本全国どこでもいつでも買えるので 赤オイル党員もロングツーリングでも安心(これを見つける前までは 3リッター缶を積んで走っていた)。


メーカーのものも元々は日石のものであるので 純正野郎も安心。 こころもちクリーンな燃焼をしているのか CCIに比べてケムリが少ない気がする(しかし青とは比べ物にならない)。

H2に使用することで マッハクラブのツーリングでも とんでもないケムリパワーを発揮し 顰蹙をかった逸品である。 赤オイルファンは3リッター缶や 1斗缶も注文して買うことが出来る。

  
 



 

(5/25・追記)

上記の ZOA であるが、買いに行ったらやっぱしないぞ!との報告が相次いでおり、最新のリサーチによるとパッケージも500mlになってリニューアルしているらしい。商品名は日石三菱「2ストエコノミー」で買えるとのこと。

写真提供:
赤オイル党・オフロード部門担当エルノシアさん
(仮名・岡山在住)

 

これら赤オイルは 沿面プラグと同じく 雰囲気を楽しむもので 性能的には絶対今時のものが良いのに決まっている。

すべては大人の道楽として 確信犯的にチョイスして欲しい。

 


つづく〜