よみがえれ H2c!
 

by FUJIWARA 

実は、このときメインジェットを交換したのですが、
その後、エンジンがまったく吹けなくなりました。
原因がわからないまま、再度、キャブレターの組み直しをしたところ
エンジンは息をふきかえしました。
ここで、試運転再開というときに、クラッチワイヤーの終端部の
部品(clutch release)が破損して運転不能に陥りました。
南さんは、キャブレターの不調はクラッチ不良を告げるための天の声だったと言いました。
たしかに、試運転途中にクラッチ不良をおこしていたら、
運転不能で立ち往生しているところでした。
さいわいなことに、南さん宅には当パーツが存り、即、補修ができました。
当パーツはカワサキからは入手不可のパーツとなっています。
当パーツの交換にあたって、エンジンスプロケットを取り外す必要があり、
チェーンまわりの整備も行ってもらうことになりました。
何から何まで迷惑かけます。南さん、ありがとう。

南さんの奥さんにご主人にお世話になっていることのお礼を言いますと、
「ほとんど、変態の領域です。」と言われました。
変態?最高にすてきです。

 

「長い前置きになりました。さあ、試運転再開です。」

松谷

「ビビッてたら、いてまうど。」
 恐れているようだと容赦しないの意味

藤原

「クウォーーーーーーン クウォーーーーーン」

「いいですよ。完調の予感がします。これがマッハなんですね。」

「十分満足です。これで帰れそうです。」

12:30pmより作業を始め、時刻は09:30pmになっていました。
これから、湾岸道路での高速走行のテストになります。
 

「いや、心配な部分もありますし、高速走行のテストがまだです。」

「我々は、車で追走しますので湾岸道路を全開で走って下さい。」

藤原

「全開ですか。もう、夜ですょ。」

松谷

「世話になってる者が何ゆうとんじゃ。いてまうど。」

「カーッと走らな。カーッとな。」
 躊躇わず全力で走りなさいの意味

藤原

「クウァーーーーーン クウォーーーーン カーーーーン」

  :

「 グァングァングァン・・・」

「どうでした?」

藤原

「夜の高速道は怖いです。」

松谷

「5cmあればいける。」
 車と車の間をすり抜けて走るのにハンドル両サイドの車までの間隔が2.5cm、左右合わせて5cmあれば全速で走れるの意味

「エンジン回転に合わせてアクセルを開いていくときの感じはどうですか。」

「アクセルをいきなり全開にしたときの感じはどうですか。」

藤原

「地道を走ったときには感じられなかったが、ボコつきを感じます。」

「どのあたりの回転域ですか。」

藤原

「4500-5000のあたりでしょうか。」

「そうですか。」

「次は4速全開の連続走行をお願いします。」

藤原

「4速全開の連続走行ってとてつもないスピードになりますが。」

「この交通量の中では無理だと思うのですが。」

松谷

「5cmあればいけるゆうちゃる。いけ。」
 ゆうちゃる・・・言っているの意味

「そうですか。それじゃ3速全開の連続走行でもいいです。」

藤原

「クウァーーーーーン クウォーーーーン カーーーーン 」

「グァングァングァン・・・」

「どうですか。レッドゾーンまで回っていますか。」

藤原

「3速全開の連続走行はそれほど抵抗なく走れているように思えます。」

「だいたい、わかりました。」

「ジェットニードルピンを一つ上げてみましょう。」

「もういちど、今までのテストを繰り返してください。」

松谷

「ビビッとったらあかんゾ。」
 恐れていたらダメだの意味

藤原

「クウァーーーーーン クウォーーーーン カーーーーン 」

「グァングァングァン・・・」

「どうですか?」

藤原

「さきほどのセッティングより無理がないような気がします。」

「体感できますか? それがだいじです。」

「さらにジェットニードルピンを一つ上げてみてもよさそうです。」

「さあ、もう一度走ってください。」

藤原

「クウァーーーーーン クウォーーーーン カーーーーン 」

「グァングァングァン・・・」

イズミオオツ?というサービスエリアにとまりました。
ここには11-12階の展望ビルがあり、レストランもあります。
夜景が最高に美しく、デートスポットになっているようです。
 

「どうですか。」

藤原

「疲れました。ここいらで少しやすみませんか。」

「食事でもとりませんか。」

松谷

「そうしよう。」

「あかん。食堂は10時までや。」

「あやしい光やの。アベックばっかりや。」

「セッティングは見えてきました。」

「メインジェットをさらに落としてもよさそうです。」

藤原

「時間も時間ですので、これ以上みなさんにおつきあい願うのは心苦しいです。今回はこのへんにしませんか。」

「藤原さん。あとはできますか。」

藤原

「みようみまねでやってみます。」

「じゃ今回はここまでとしておきますか。」

「いいですか。松谷さん。」

松谷

「許したる。」

藤原

「それじゃ、これでひきあげることにします。」

「どうもありがとうございました。」

「気をつけて。」

「クウァーーーーーン クウォーーーーン カーーーーン 」

夜を徹したマッハの試運転。
暴走族まがいの車やバイクが走る夜の高速道に一台孤独なマッハの叫びがありました。
家路に着く頃にはもう夜の闇は白んでいました。
フロントを高々と上げマッハサウンドに酔っている自分の幻覚を見ていました。

南さん、松谷さん有難うございました。
そして、南さんの奥さん有難うございました。
 


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