マッハIIIピンポイント整備入門

本当は 整備したり洗車したりするよりも単車に乗ってのって乗りまくるのが好きです。 給油とメシ以外は日が暮れるまでひたすら走る…そんなロングツーリングが好きなんですがやっぱりマッハは乗りっぱなしではコワレます。

そんなわけで 数々の先輩をさておいて整備入門とは何事かといわれそうですがいろんな人から授かったちょっとしたノウハウを紹介してみます。 極めて基本的なことなので ヘヴィユーザーには当たり前の事かもしれませんが マッハ初心者には参考にしてもらえると信じております。2ストのピストンリングの交換ができる程度の人なら誰でもできますので 挑戦してみてください。

by SHIRAYAMA 

オイルポンプ調整

白状しますがマッハを焼き付かしたことがあります。それもこのオイルポンプ調整が出来ていなかったからです。 高速道路でフルロックしました。クランクのベアリングがバラバラになっていました。幸い修理して再び乗れるようになりましたが部品の調達に苦労しましたし内燃機屋さんと単車屋さんにかなり迷惑をかけました。なによりも死ななくてよかった!

最近ケムリの出が少ない…オイルポンプなんか見たことも無いという人は一度チェックしてください。くれぐれも二の轍を踏まないように…。(調整の仕方は250や400も同じです。)

1 まずはエンジン右のタコメーターのケーブルが入っているカバーを開けて見てください。この時、ワイヤーケーブルのグロメットゴムを傷めやすいので気をつけてください。このときオイルポンプ周辺にオイルがいっぱいこぼれているならバンジョーボルトからオイル漏れをきたしている可能性大です。(後述)

2 写真1はKAなのでデストリビューターがありますがその上にオイルポンプが見えます。H2も、デスビはありませんが同じような感じでオイルポンプが見えます。250や400のS2系のエンジンは オイルポンプが水平ではなく垂直に見えますが基本的には同じです。

3 まずはアクセルの開角度と連動しているコントロールレバーの点検をします。オイルポンプに写真2のようなワイヤーのくっついたダイアルが見えます。これはアクセルを廻すと動くと思います。このしくみで吐出量を可変させています。

写真1

写真2

問題は、ドライバーの先に見えるマークがアクセルを戻したところで合っているかです。(大事!)アクセルを少しひねってやっと合うぐらいなら緩んでいます! 吐出量がこれまで少なかったことを示します。 いかがですか?

4 もしずれていれば調整しましょう。写真3のケーブルアジャスターを廻して合いマークが合うまで引きます。少し引きすぎ気味ぐらいの方が安心です。調整の後は緩み止めのナットを確実に締めてください。

ワイヤーが伸びている場合は目いっぱい引っ張っても規定のマークに合わないこともあります。新品のワイヤーでも、かなり引き気味にしないと合わない気がします。

これはアクセル側とキャブレターのスロットルバルブ側の引きしろを調整するとよいのだと思いますが規定マークにあえば敢えて今回はそこまでしなくてもよいでしょう。調整不良の原因はワイヤーが伸びることや振動で緩むことで起きたと思われます。

5 次はバンジョーボルトのチェックです。これは煙りもくもくになりますんで屋外でやりましょう。バンジョーボルトとは、オイルポンプからクランクケースに行くオイルラインの根元です。写真4のように見えます。後期のH2ではラインは4本あってキャブレターにも潤滑されるようになります。まずオイルポンプカバーを外したままエンジンを掛けてください。それで、先ほどのオイルポンプコントロールレバーをめいっぱい引き上げてください。そうすればアイドリングの状態でかなり大量のオイルが吐出されていることになります。そこで半透明のオイルラインを一本ずつ観察して見てください。ライン内にオイルが充満しており、小さな泡が時々流されて行ったりすることでオイルが流れていることを確認できれば問題なしです。 オイルラインの中に空気を大量に噛んでいたり通っていなかったら大問題です。連続して大きな気泡が通る場合はバンジョーボルトの緩み等が考えられます。

写真3

写真4

6 次にバンジョーボルトの緩みを見ます。もしオイルラインに正常にオイルが流れており、且つポンプ周辺にオイルが漏れていないときはバンジョーボルトの締め付けは敢えてチェックしなくてもよいかもしれません。 緩みを疑うときは写真5のように、確実にレンチでキャッチして慎重に締付けます。オイルポンプのボディーはアルミなのでねじ山が簡単にねじ切れます。決して力いっぱい締めてはいけませんので注意して下さい。オイルポンプはメーカー欠品なので壊したら代わりは無いと思ってください。バンジョーボルトには写真4のようにロックワッシャーが付いていることもありますが爪を広げて締め付けてみてください。 ロックワッシャーが付いていても緩んでいることもあります。 お店で売られているマッハは時々このバンジョーボルトのねじ山が切れていることがありますので、これから購入の際にはチェックするポイントのひとつかもしれません。運悪くねじ切ってしまった場合はヘリスタットを挿入してネジ山を再建する手もありますが名人芸が必要でしょう。(写真6

写真5

写真6

もう1箇所、オイルタンクからポンプに入るところのボルトも緩んでいることが多いのでこれも慎重に締めつけてください。(写真7

これだけ点検や増し締めをしてもオイルライン内に大きなエアーを噛んでいるという場合は ラインに穴があることやクランクケース接続部のチェックバルブが傷んでいる場合があります。マッハシリーズは理論上、中央シリンダーが熱により焼き付きやすいとされていますが実際には左シリンダーが焼きつくことが多いとも言われています。これは左のオイルラインがポンプから最も長く細くなっているのでトラブルを来しやすいからだとされています。オイルラインの点検をしている時にはそんなことも留意してください。

ロックワッシャー(写真8)はカワサキから出ますので現在ついていないなら注文して取りつけることもお奨めです。これはバンジョーボルトの緩みによる焼きつきが続発したので緩み止めの対策部品として作られたものです。部品番号は92024-058です。安いものなので何個か買っておきましょう。

写真7

写真8

7 次に、これはオイルポンプではありませんがオイルタンク内のチェックです。オイルポンプの吐出量が少なくなる原因としてオイルタンク内のゴミがポンプへのラインを詰まらせることがあります。一度、オイルの残りが少なくなっている時にオイルタンクを外して灯油で洗浄してみましょう。 余りのゴミの多さに驚くかもしれません。特にタンク内のオイルラインとの接続部にメッシュのストレイナーがあります(写真9)が そこに強くゴミが付着して流れを悪くしていることがありますので注意してください。

写真9

マッハが何故今絶滅に瀕しているかはやはりこの潤滑系に問題があるからだと思います。ラインにしてもあんなバンジョーでなくて もっと確実で且つ耐久性の高い連結法があったに違いないのに緩んだらオシマイの構造をしているとかで、ユーザーが今なお気をつけて点検せねばならない点が多いのです。各々自分のマッハは自分で守りましょう!

以上、基本的なことを長々と書きましたが快適なマッハライフの一助になればと思います。このコーナーへのご質問やご希望があれば掲示板にカキコしてください。

どうぞよろしく! 次回はKA−1のデストリビューターの点検整備についてです。

乞うご期待!

  


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