|
|
|
|
キャブレター編プロローグをアップロードしてから もはや半年が経過してしまい 期待してみてくれている方々には裏切ってばっかりで涼しい顔して過ごしておりました。 ジロー |
|
|
|
|
|
![]() |
関が原を通過する頃から霧雨が降りはじめたので 養老SAでやむなく合羽休憩する。 どうも大阪クラブのルーキーの調子が怪しそうだ。 どうも左1気筒が燃えていない様子(火花はOK)。 パイロット系は燃焼しているのか アクセルを軽く煽るだけで比較的にアイドリングが安定している。 聞けば 吹田インターから高速のったところから不調だったと。 アクセルワイヤーをつまんで引っ張りあげる(つまりその気筒だけスロットルバルブを吊り上げてみるわけ)と 燃焼していないのか まったく回転が上がってこない。 プラグを交換すると一瞬だけ火が入って走るらしい。 それって例のチョークプランジャーが色々な事情で落ちきらないで開いているんじゃないのか〜と言うことで チョークワイヤーをプランジャーから外してスプリングで押しこんだ形にしてみる。 それでも燃焼する様子がない。 みれば チョークワイヤーの遊びもなさ過ぎるし 遊びがまちまち過ぎるんじゃないかということで チョークワイヤーの調整をしながらキャブを見ることにした。 |
|
|
う〜ん パイロット系は機能してるとしたら メイン系のつまりじゃないのか〜っとキャブをばらすことにした。 この辺りまでは自信と希望にあふれていたのだが…。 MJとPJが詰まっている様子がないので 食堂から割り箸をもらってきてNJを慎重に外してみる。 「生まれてこの方 外されたことなかったよう〜」とうめきながらNJが抜け出てきた。 NJはガバガバだろうが まあ不調になる前までの調子に戻ればイイのだと そこは目をつぶって点検してみる。 プロローグにあるように ミキシングチャンバー側からマグライトで照らしてメインエアージェットが通っているのか見てみた。 しかし穴3の奥にマグライトの光が全く見えなかった! |
|
![]() |
不謹慎な話しだが 「おおこれはエアージェットが走行中に詰まってしまい 急にイッ気筒死亡したに違いない!かばんに飛行場でつけてもらった荷札がついているので アノ針金で通せば万事解決だ!よしよしよし♪」 と実は心の奥でニヤリと笑っていた。 ガソリンスタンドでエアーガンを借りながらエアージェットを通そうとしてみたが これが全く通る気配がなく 荷札の針金は明らかにジェットより細いのに貫通して通る様子なし! 針金の腰が弱いので捻ろうが押しこもうが通る気配がなし。 霧雨が皆の髪の毛を容赦なくぬらしてゆく。 少し太めのステンレスワイヤーを持ってきてくれたが それは明らかにジェット内径より太く使えるようには思えない。 |
|
![]() |
スタンドに尋ねると アルコール性のパーツクリーナーを貸してくれたので それを噴きこんでみるが アルコールが3の穴に充満してNJ側に落ちてゆく様子もなし! プロローグで「キャブを掃除する時は やはりNJを外してしなければならないなあと思われた。」などと安易に書いてるが エアーガンもあり 針金もあり パーツクリーナーありの環境でも通すことができないものなのか!と愕然とした。 結局ミナミ氏が「丁度よい太さ」のワイヤーを持っていたので それでヌガー化したスラッジを貫通させて通すことができた。 しかしミナミ氏曰く… 「エアージェット孔がもし急に詰まってしまったとしても 一気筒死んでしまうような状況にはならないとおもう。」 そもそもこの詰まり方は家を出る前から詰まっていたに違いないだろう とのこと。 エアージェットからの流入は よりスムーズに混合気を作るものであって「アクセルフィーリング」には影響するがメインエアージェットが詰まっても走行不能には陥らないらしい。 |
|
|
キャブを色々とやってみたところで なんとなく調子が出た?気もしたので SAを出発して走り出した。 ところがやはり数キロ走ると一気筒死亡する…。 次の休憩所では とうとうガソリンタンクを外していじり始めることになった。 目指すは出発時の調子に戻すこと であるが「抜けないトゲを抜く」が如く作業が続くことになった。 九州中国連合には先に会場へ行ってもらうことにした。 |
|
|
整備のプロによる路肩作業が続いた…。 キャブの同調とり→べろの高さ法(フロートの寸法計測)による油面調整→キャブレターの左右入れ替え… 依然としてよくならない。 このあたりから 圧縮はそこそこあれども キャブの吸入が弱いことがだんだん分かってきた。 |
|
|
会場近くのPAで修復を試みるが 一瞬よくなったのか!という希望的観測は 数百メートル試験走行するだけでこっぱみじんだった。 バッフルが詰まってるんじゃないかと 外して点検する。 ん〜コレぐらいなら大丈夫じゃないの?と思うがオーナーの手でシコシコ掃除される。 でもやっぱりだめだ〜 ということで最終手段として 腰上を開けようということになった。 まずマフラーを外し始めた…。 またまた不謹慎な話 心の中では「行商できなかったなあ」「メイン宴会は絶望か」と意気消沈しはじめていた。 |
|
|
マフラーを外すと まあなんということでしょう(加藤)♪ガソリン未燃焼液がたっぷりと出てくるではあ〜りませんか! この段階で 「吸いが弱い」のは コック不良?でオーバーフローしたガソリンが 燃焼室からマフラーに充満していたのではないかと。 「これで宴会に間にあう!」と小躍りして喜んだのはわたしだけだろうか? 充満ガソリンはペットボトルに入れてお持ち帰りとし エキパイ外しキックの嵐でクランクルームのガソリンを形式上は抜いた。 「コック不良で夕べのうちに燃焼室にガソリンが落ちたなら よくリキッドロックしなかったもんだな」とミナミ氏に尋ねたが 不幸中の幸いと。 説得力に欠けるぞ〜。 本当に解決したのか?という疑問を払拭するが如くに エンジンは快調な音を響かせた。 さっさと(宴会に間にあうように!)出発だ!とSAを発進した。 |
|
![]() |
ところが!屏風山PAを出発して 数キロも走らないうちにまた80キロペースに転落。 翌日 大阪クラブの副会長がクルマを回してくれたので ソエちゃん号はドナドナ帰還となった。 |
|
|
|
|
キャブの裏側から見た穴が どこがどうつながっていくのかは プロローグをみていただくことにして 軽くおさらいしつつ 掘り下げていくことにする。 |
|
キャブレターというのは VM28なら28の 基本のインゴット(金属のカタマリ)みたいなのが存在して それを各車種の仕様(メーカー設計の)に沿って 加工されて 車体に積まれるのだと思われる。 青矢印なんかは 他の車種仕様にするときの ドリリングのガイドディンプルなんだろうなと思われる。 あまり知られていないかもしれないがA7(350CC)の後期のキャブはH1とおなじVM28だったりする。 ただしエアーベントはクリーナー側の上部に開口しないで 赤矢印のところにニップルをつけて エンジンカバーの外(Aシリーズはロータリーディスクバルブで キャブはカバーの中にある)にチューブで連結してある。 黄色矢印は 前項で「ピラミッドの盗掘穴」と勝手に表現した穴で 製造上あけた穴を 真鍮の棒等で塞いだものである。 |
|
H1のエアーベント孔の話が出たので 写真を挙げておく。 前項で触れてあるが フロート室の内部は 大気圧に調整されている。 調整はフロート室底のドレーンチューブが大気開放されていて もう一経路は 二つ上の写真のキャブレターボディ底の赤矢印の穴から左写真のミドリ矢印のように通じていて 一つしたの写真の青矢印部分に開口している。 |
|
この写真のように H1だけが フロート室からここに向けて開口している。 ミキシングチャンバーよりもエアークリーナー側の天井に開いている。 何故そんなことをしてあるのか 色々と考えたり訊いたりしてみた。 エアークリーナーが着いていることで 吸入圧が低くなった時に それをフロート室に反映させるためだとか スロットルバルブが閉じたときの圧変化を フロート室に反映させるためだとか 推測はいくらでもでてくるが 決定的な根拠は思いつかないし 与えられることはなかった。 |
|
写真は 後期A7のVM28キャブで矢印のようにH2等と同様のニップルが設けられて (余談であるがA7のキャブの写真は 走行中にフロートバルブ全体が緩んで落ちてくると フロートのべろに強く当ってガソリンが落ちなくなるというトラブルの写真) A7のVM28は 吸入口の形状がH1とちょっと違うことに気がつく… |
![]() |
参考に貸してもらったKR750レーサーのキャブの写真であるが このレーサーのキャブをみるとH1のキャブと同様にエアーベントは吸入口の上面にチューブでわざわざバイパスしてあるのが分かる! ロードH2にはない経路を レーサーにはわざわざ増設してあるというのが興味深い。 スロットルバルブ全開で吸入する時には 気化したガソリンを含んだフロート室の空気を補助的に吸入するように考えられているのかは推測の域を出ない。 「ブローバイさせる」という概念は どこまでいってもシロートには計り知れないものだなと。 |
|
ブローバイで思い出したが フィアット500の謎のブローバイも眺めておく。 このあたり 「なんで?どうして?」という概念はどこまで行ってもシロートには推し量れないものがある。 |
|
はじめの方の 側面写真の反対側の写真を挙げておく。 青の矢印は エアーベントを設けるためやエアースクリューを入れる穴用のガイド穴である。 |
|
スロットルバルブをまたいで クリーナー側からエアーをひいて チョークプランジャーが塞いでいる穴から ガソリンを吸い上げて スロットルバルブのシリンダー側に開口している。 後述するかもしれないが H2の初期キャブと刻印H2-2のキャブに変更されたところで スタータージェットが40番から70番に変更した なんて資料には書いてある。 |
|
キャブの刻印の話が出たので写真を挙げておく。 キャブのボディ自体は 後期になっていくほど強化されて改良されているので |
|
キャブの裏側の写真であるが この穴が フロート室ドレーンとつながっている。 前項でも挙げたが この穴が製造上の失敗で 奥で開いていないものもあるので |
|
エアークリーナー側の吸入口の写真をみると ドレメルでエアー通路を削ったのを思い出す。 このキャブは左と真中用のキャブで エアスクリューが左にあって 負圧コックの取り出しがない。 |
|
前項で七転八倒しているので 軽くおさらいだけしておくが 紺矢印はパイロットジェットにつづく穴でありエアースクリューが入っている横穴でクランクになり 真鍮棒で蓋をしてある穴からPJに続いている。 黄緑矢はニードルジェット(NJ)に続く穴であり スロットルバルブの奥に赤矢印のジェットニードル(JN)が見える。 NJを外し(外し方は後述) その穴から光をいれると 黄緑矢の穴の奥のエアージェット(圧入してある)を通して光が見えるはずである。 しかし 冒頭に挙げたそえちゃん号の例を見ても スラッジで詰まっている車両も多いようだ。 パイロット系のエアー通路もメイン系のエアー通路も あくまでも良い混合気を作る目的のもので まったく詰まっていてもエンジンはかかる(それなりに走る)らしい。 時々「エアスクリューをいじっても アイドリングが変わらない」というヒトがいるが これはエアー通路が詰まりかけているのかもしれない。 そえちゃん号で体感したことには 詰まっているエアー経路は ガンで吹こうが パーツクリーナーを吹こうがびくともしないし 荷造りのぺなぺなワイヤーごときでは まったく通る様子がなかった。 黄色矢印はご存知のチョークのエアー経路である。 |
|
シリンダー側からキャブを見るとH1のキャブはベークライトで固定するようになっているのが見える。 インシュレーターが金属で ベークを挟んで締め付けるようになっている。 時々このベークが「取れてしまった」と連絡をもらうが ベーク部分の修復はシロウトには難しいのではないかと思う。 キャブレターの専門店に相談してもらっている。 スロットルバルブのエンジン側に 小さな青矢印の穴が見える。 これはPJからあがってきた穴であり パイロット系(スロー系と表現するヒトもあり)の経路である。 スロットルバルブがおちきった状態(アイドリングの状態)に近くても ガソリンを供給できるようにしてあるのがパイロット系の役目であるが レクトロン社のレーシングキャブなんかは パイロット系がなくって メイン系だけで エンジンを回していたりする。 当然 アイドリングは安定しにくいだろう。 |
|
少しスロットルバルブを開くと PJの直上の穴(黄緑矢印)と ニードルジェット(水色)が見える。 プライマリーチョークが3ミリだとか8ミリだとか言っているのは NJがミキシングチャンバーに飛び出ている部分(水色矢印)の長さを言っている。 |
|
右用のキャブをシリンダー側から覗くと 写真のように丸い穴が貫通している。 負圧コックのダイアフラム構造をあまりよく理解してないので 適当にしておきたいが ここから陰圧で吸入することで ガソリンコックが開いて フロート室に重力でガソリンが落ちてくる仕掛けになっている。 負圧 という名がつくので「ガソリンを吸いおとしているんだ」とよく勘違いされている。 えてしてコックのダイアフラムが傷んでいたりして 陰圧がかかっていない(エンジンがかかっていない)ときにも ダラダラガソリンが供給されつづけていることもあるので注意。 |
|
これは右キャブレターの 負圧の取り出しで このキャブにはピンゲルのコックを使用していたので 負圧の取り出しを閉じている。 あとこの負圧コックへいくチューブを間違って ガソリンが落ちてくるチューブと間違って接続すると シリンダーからクランク室に直接ガソリンが入るので リキッドロックすることがあるので絶対に間違いないようにする。 |
|
H1ないしAシリーズ(GAも)のキャブの特徴として アイドリングの調整をスロットルストップロッドで行っている。 赤矢印はアクセルワイヤーが入る部分で 青矢印はスロットルストップロッドをぶら下げたねじになっていて 小さな割りピンでロッドを固定している。 |
|
すなわち この写真のように ロッドで「釣り上げる」ことでスロットルバルブを持ち上げて アイドリングを調整しているのである。 その調整部分を載せたミキシングチャンバートップをミキシングチャンバーキャップ(リングみたいなの)で固定してある。 |
|
スロットルバルブは ミキシングチャンバーの バルブの回転止めピンに入るように挿入してふたをすると スロットルバルブのカッタウェイ部分がエアクリーナー側に来るようになっている。 ジェットニードルは この状態で振ると ぶるぶる震えるのが正常で Eクリップをむりにかしめると 自由に動かなくなり NJの偏磨耗につながる(らしい)。 |
|
スロットルバルブを裏から観察すると 青矢印はストップロッドで釣り上げている穴であり 赤矢印はアクセルワイヤーが入る穴である。 大きい方の穴からタイコが入って 溝のあるほうで止まるようになっている。 |
|
ここで意外と知らないヒトが多いのは ワイヤーを紫矢印の穴からスロットルバルブに通した後 ミドリ矢印の穴で固定するが 青矢印の(スペクトラムのマークみたいな♪)スロットルバルブスプリングシートを写真の位置からドライバーなどで時計回りに少し回転させて 紫矢印の穴を蓋してしまうことが大事である。 これをしていないと アクセルを急激に戻した時にワイヤーがすっぽ抜けるへっぽこをやらかしてしまうのである♪ |
|
ワイヤーが入っているところに スプリングシートを矢印のように回転させて 穴を塞いでおくわけである。 それをしないと〜 |
![]() |
バキュームカーのおっさんの手ではない。 ド大雨の中 アクセルワイヤーがすっぽ抜け! |
![]() |
…もひとつ すっぽぬけで「みょ〜〜〜〜」となること必至 である。 一説には アクセルを開けてもついてこなくなるので |
|
あと H1のキャブで注意するのは ロッドでスロットルバルブを釣り上げているので ロッドが曲がると スロットルバルブが落ちきらなくなる(スムーズに動かなくなる)ので 曲がりがないか注意にして検品する。 キャップで締め付ける際にトップ(蓋の部分)をうっかりよじると 矢印のようにワイヤーとロッドがクロスすることがあり その時にロッドをひん曲げてしまうことがよくある。 |
|
トップはつめをキッチリとキャブボディに嵌めて締め付けるようにする。 赤矢印のガスケットは ミキシングチャンバーのところで二次エアーを吸わないようにあるものだが 部品番号設定がないので 欠損している車体もあるので注意してみて欲しい。 A7のVM28キャブには このガスケットがないし つけるとアイドリングを調整できないらしい…。 |
|
ミキシングチャンバーのところの写真を出したので キャブレター修理の限界の写真も加えておく。 H1のキャブはチャンバーキャップ(リング状のもの)をねじ込んで蓋をする構造をしているが そのねじ山がだんだん傷んでくるのがよく見られる。 |
![]() |
キャブレターは 鋳造で作られているので スも多い。 小さなスはデブコンなどで埋めて使うのもよいが… |
|
スができているところを 削ってデブコンを盛ろうとしたら どんどん奥に穴が開いていったという例。 うまくデブコンを盛って修理してあるが こういうキャブもできれば「別のキャブ」を探して使用した方がいいのかもしれない。 |
キャブレターの特徴についてH1編 H16年12月28日編集 |
キャブレター編 キャブレターの特徴H2編へ |
クラブハウスに戻る |