マッハIIIピンポイント整備入門

電装編その4

代替部品について
電装部品は どうしても消耗していく運命にある。 すなわち 劣化し 故障していくのである。
しかし残念ながら メーカーからいまだに供給されるものではないのも事実だ。
そこで 代替して使える部品を探してみようと思いたった。
実際に使ってみて 問題がないことを確認して紹介してみたい…



代替電装部品で まず簡単に思いついたのは KA用イグニッションコイルだった。
実際に現在 自分のKAには代替ものが着いているからだ。
しかし これは個人製作のCDIユニットに付随していたものなので
ストックのCDIにも使えるのか確かめる必要があった。

そして それが何のコイルを流用したものか CDIを製作している方に
迷惑にならないように教えてもらわなければならない。
なにせ そのCDIやコイルを出している方は それ相応に苦労して
開発して それを販売して生活の足しにされているのだろうから…

そこで 彼のCDIを欲しいという人の紹介のついでに 電話でコイルの事を
聞いてみた。

1 KAのコイルは バッテリーCDI形式のものを流用したいけれども 自動車のもの
でも探さないと そのものバッチリのものがないんで フルトラやセミトラ用を
流用している
2 KAは 一個で三気筒分デスビで分配しているので 容量不足にならないものを
選ぶ必要がある
3 抵抗値が大幅に違う物は避けているが 結局は 使ってみて結果オーライで
決めた
4 別に ストックのCDIでもいける筈
…とのこと。相当な試行錯誤があったに違いない。

最後に心苦しいながら「実際にうちに着いているものは何用のものですか?
今後 代替コイルとして役に立てたいんですが」と おもいきって訊ねた。

GX用 2気筒の」とだけ 苦しそうに教えてくれた…

 

さあそこで ヤマハのお店へ走って GX250(GXには400もあったりするが!)のコイルの番号を
調べてもらった。 なんと GX250のコイルは前期型と後期型で違うものが着いているらしく
番号違いのものが二種類あった。

しかたなく 片一方をヤマ勘で注文した。 恐ろしいことに コイルは一個9800円ぐらいした。
今後の人の役に立つなら安い物か とお金を払ってお店を出た。
しかし 一週間後に届いたコイルは あろうことか全然違うもので しかも ハイテンションコードは
一体になっていて KAのなが〜いコードと交換することなど出来なかった。

「これ 返品して もう一方を注文できませんか」と ショップの方に話したが
残念ながら もはや返品は出来ません。 で もうひとつの方注文しますか?」と…

その時 私の目は どおくまんプロの漫画のように びよよよよよ〜ん♪と飛び出ていたに違いない。

ここで もう一方のコイルを注文して これも違う物が来たら再起不能に陥ってしまいそうなので
断念した。 使いようのないコイルをかばんに入れて店を出た。

数ヵ月後 GA5に合いそうなウィンカーリレーを求めて 重野モータースに立ち寄った。
すると 解体途中のGX250が置いてあった。 ガレージセールで部品として売るのだそうだ。
そのGXに着いているイグニッションコイルは うちのKAに着いているもの そのものだった!

そのGXのフレーム番号を控え 二個2000円で コイルをせしめて家へ帰ったのは言うまでもない…

さてさて そのフレーム番号 4A8-476142に合うイグニッションコイルアッシーを
マッハ商会のクリ坊さんに調べてもらったら 2F3-82310-60
価格は一個9,900円であることが判明。
おそるおそる 無駄に購入したコイルと 番号を照会したら別物だった。
クリ坊さんの話では 前期はポイント点火で 後期はフルトラで このフレーム番号
の車体は 後期型であるそうだ。 これで 誰でもが公平に購入することができる
ようになったところで 車載テストだ。

コードやステーをなんとかしてくれて 気軽にKAに積んで走ってくれて 
うまくいったかレポートしてくれそうな人を探すと ドンピシャの人物がいた!

広島のTOKOROさんだ!

以下 アルミ板の魔術師TOKOROさんの取り付け資料写真…

ステーは 写真のようにアルミ板で自作しよう。
フレーム取り付けの穴は 現物を見ながら開けるとよいと思われる。

裏から見ると こんな感じ…

コイルがフレーム等に干渉しないように注意しよう。

表から見たら こんな感じ…

ホーンとの干渉も注意。
この取り付けネジがよく外れることがあるので タンクを外したときは
緩んでいないかチェックしよう。

次に コードの配線…

コイルからは 赤とオレンジのコードが出ている。
端子はギボシに交換してもよし。

TOKOROさんの話では CDIからの黒と赤のコードを 赤とオレンジの
どちらにつないでも火が飛ぶらしいけど 彼が赤を赤 オレンジを黒につないで
テスト走行して問題なかったらしいので 赤に赤をつなぐこと。

ハイテンションコードは 南海部品で購入した物で クレーンカムと違い
コイルの取り付け部や デスビキャップの穴を広げる必要がないらしい。

(しかし 見た目にもチカチカする この黄色いコードが 彼らしい!)

最後に このコイルは あくまでも代替品であり 厳密にはストックとは違うことを
お断りしておく。
当然 抵抗値や容量もストックとは違う しかし 何ら問題なく使用できることを
お話しておくことにしよう。

(その他にも 流用可能で 価格的や大きさ等で良いものがあれば また 
お知らせください。)

引き続いて
KH400用(マグネットCDI点火用) 代替イグニッションコイル案


以前からの懸案事項であったKH400(CDI点火)のコイルの代替案を
レポートしてくださったので それを参考にして戴いて 今後に役立てて
いただければと思う。

実際に400の取り付けてレポートして下さった2st乗りさんは 某パーツ屋で
「KH400用イグニッションコイル」
と称するコイルセットを購入して来られた。 三個セットで21300円だったらしい。

ところが このイグニッションコイルがメーカー純正品なので 馴染み深い部品番号
タグがついていた。 品番は 21121-1230 を消して 21121-1191 と直してある。
実際ダイレクトリサーチで調べると 1191でも 1230に変更となり 単価¥3,500!と。

まあ 流用できることを確かめた発見料なのだろうが なんとも部品屋も
生きていくのは苦しいのだろうなあと…。

(しかし21000円で購入して テストまでしてレポートしてくれた2st乗りさんには
感謝感謝だなあ。 アナタの無駄がねは皆さんがカタキとってくれますよ♪)

オリジナルとサイズが違うために TOKOROさんの得意な アルミ板ステーを
作って取り付けてみよう。
2mm厚のアルミ板で ささっと取り付けてみてくれましたが 寸法関係は参考に
して 後は現物合わせだ。

(しかし 2ミリのアルミ板で大丈夫? TOKORO兄貴自作ウィンカーステーとか
振動で全部折れてたで〜)

矢印のマイナスコード(黒)は フレームにしっかりアースさせるようにする。
アルミ部品は導通の関係もあって なるべく確実にアースがとれるように工夫しよう。

(しかして このイグニッションコイルは 本当は何用のものなんだろね。
あのクレージーズで教えてもらった謎のスズキウインカーも
何用のウインカーかも よくわからないまま使ってます。

分かる人は教えてね♪)

取り付けは、ざっとこんな感じ。
かなりコンパクトなコイルなので 使い勝手は良さそうである。
電装系の常であるが 少しいじると 始動性がよくなったり ウィンカーの点きが
明るくなったりする気がする♪)
「一般道・高速とも上から下まできれいに回るので 問題なく使えそうです。
何処かで、誰かのお役にたったら幸いです。」
と 2St氏の弁…。 
ありがたいよなあ。 このコイル自体は 恐らくはH2にも流用可能かもしれない。
H2は NS400のコイルが使えることを動作確認済みであるが
このコイルをH2につけて走行可能であればまたレポートすることにする。

さらに 引き続いて…
KAの代替デスビローター案



↑本当はこんなどころではないぐらいローターをコレクションしました…
笑えるものもたくさんありますが今回は割愛いたします


KAのデスビローターほど 最後に手に入ったときの値段の高さに驚かされたものはない。
こんなしょ〜もないもんが なぜに こんなにするねん!という値段だった。
しかし その後 その高い値段を支払ってもメーカーから来ることはなかった。
いわゆる「メーカー欠品」 すなわち絶版ということだ。
デスビの接点は スパークかすがつく→オイルストンで磨く
→キレイになるが減る→またスパークかすがつく→磨く…ときて
最後には使えなくなってしまう。
「三菱の電装部品なんだから こんなもん そのうちに合う部品が見つかるだろう」
…とある御大が言った。
でも 誰も代替品を探すことに 成功することが出来なかった。
自動車部品屋でのデスビローター漁りが始まった。
合いそうなものを ひたすらコレクションしてきたが
加工してもそのまま使うことができそうなものは見つからなかった…。
もはや10年以上も機会を見つけては 寸法を調べてきたが
ひょっこりその機会が巡ってきた!


中国マッハ団のTOKOROさんから 
サニートラックのデスビに寸法が近いものがあるんやけど〜 と 中古のローターと
パーツリストのコピーが送られてきた。
まずそのローターは 端子を1.5ミリほど切り詰めて スカート部分を1ミリほど削ると
後期のシャフトにはバッチリだった。

コレはいける!という感触だったので 日産に注文した。
するとそのローターそのものは メーカー欠品になっていた…。

腹立たしいので そのPLに載っている他のローターを何個か注文した。
すると 似ても似つかないものがゴロゴロとやってきた…。

やっぱりダメかとあきらめつつ 他にも何種類か注文したら 統合された番号とともに
何個か手元に届いた…すると なんと!前期にも後期シャフトにもそのまま使える寸法のものが一個あるではないか!
コレを逃す手はないと その番号と思しきローターを一度に三個注文した!
…すると!ちがうローターが三個届いた…。

数回注文しなおして やっと日産22157-18011がそのローターであると判明した。

赤影は 後期のシャフトに交換したのち 後期のローターをつけていたので これと
交換して 試験走行を2500キロ走行したところ特に何も問題が出なかったので
後期のシャフトには 問題なく加工なしで使用できるものと思われる。

当初 もっとも加工が必要と思われた ローターのセンターから 端子の端面までの
長さはコンマ数ミリ短いのみで 使用には問題がなかった。

シャフトとローターが 改良された大きな点は ローターが抜けてこないように
ねじ止めされるようになっていたり かなりタイトに入る(そして二度と抜けない)ように
なっていたのを シャフトにサークリップをつけておいて 矢印の溝にサークリップが
嵌り カチッと留まるようになったことである。

残念ながら 日産のローターはサークリップで留まる構造はしていない。
ローターの横に穴をあけて ねじで留まるようにでもする必要があるかと思ったが
今回は あえて センターのカーボンブラシで押さえつけることだけで
トラブルにならないかを試してみた。
結果的には スポッと嵌めて使うだけで 全く問題なく使用できている。

前期のローターシャフトに対しても 寸法上は問題ないことが確認されている。
完全に奥までシャフトを入れた状態で シャフトのオシリから 接点の中心までの
高さが ほぼ全く一致するので 前期のシャフトに 後期の純正ローターをつけるときに
しなければならない「奥のデベソ」を1ミリ削る必要もない。
接点正中から 接点端面までの長さもデスビのスパーク上 問題ないと思われる。

青矢印のように シャフトの半円平面部分には 厚い金属の方が嵌り
ちょっとタイト気味に嵌る。
(赤い矢印の薄い金属の方は「背もたれ」で 丸い面をホールドします。)

各デスビシャフトとデスビローターについての細かい検証は
次章に続きます。(平成17年3月15日
記事追加

純正のローターはシャフトの半円キリカキの一番奥まで入って留まる(赤矢印)が
日産のローターではスカートが短いので 奥まで入って留まるようになる。

写真は左右とも前期のシャフトであるが 青矢印の平面に嵌めると
ローター角度が やはり90度ずれるので 前期シャフトにこのローターを
使用するときは 右カバーを外して 右上死点を出して ローターをTマークにあわせて
閉じなければならない。
(今後 前期シャフトに使用してみた方がいらっしゃれば ご一報ください。)

最後に このローター自身は あくまで代替品であり このローターの方を
使用することを推奨するものではないことをお断りしておく。
またこのローターも いつ欠品になるか分からないので 必要だと思われる方は
早めに入手するのがよいかもしれない。 ちなみに一個620円

そして H2用 イグニッションコイル代替案
これは KR250のコイルを使用することができる
ステーの製作が難しいが リプロ解放区にあるH2用コイルステーを参考にしてやってみてください。




KAデスビシステムの検証につづく
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