Yamaguchi Autopet Fighter AF55

 

by アイリー
 

 

 



岡山市郊外の山中にある農家の納屋で発見してから、はや10年が経った。
捕獲直後には、ちょっとだけ掃除した。ナンバーを取得した。自賠責も2年つけてみた。


プレスのボディには、塗装が剥がれて錆が発生しているところも多く見受けられた。
スポークは9割が真っ赤だったし、リームなどにも時折緑の斑点を伴った錆が鍍金層を押し破っていた。

そこいらへんのことは、すべて目をつぶることにした。
珍車だったらなんでも良い と考えていた時期があったのだ。
乗って目立つことができればそれだけで良かった。
まだ若かったころのことだ。


信号待ちをしていたときだった。右側に路線バスが停止して乗降口が開いた。運転手が話しかけてきた。
「うおお オートペットじゃあ〜」

おっさんおっさん仕事しなはれ とココロでつっこむも、ホントは嬉しかった。
W1S−Aを転がしているときとは、明確に違う世間のリアクションに、驚いたものだ。

近所のShellで買ってきたオレンジの匂いがする赤オイルを40:1で焚いていた。
混合ガソリンを作るという行為そのものが、妙に楽しかった。






 


しかしそんな日々は長く続かなかった。
熱ダレしやすく、カブりやすい性質にイヤ気が差してきた。そして、プラグが一般にはもう流通していない規格のものだったこともあって、乗りつづけることを投げ出してしまったのだ。

そして、ずいぶん長いこと、ブルーシートに包んだまま軒下に放置してしまった。
売却あるいは廃棄する勇気はなかった。でも「アリモノ」のプラグにムリヤリあわせる追加工を施すなどという発想も情熱も、その当時持ち合わせていなかった。若かった。
青くさかった。そしてバカだった。
キラキラに再メッキしたり、テロテロに再塗装してやろうとは、10年前にはおよそ思わなかった。

10年の月日と2台のダブワンが、工具と技術とスキルと人脈をたくさんもたらしてくれた。
そして、スタンスを変えてくれた。
「こんなん メッキ以外はぜんぶジブンでなおせるわ〜。」

こいつをもう一度厚化粧させるのも、また面白いかなと思うようになったので、は〜さんのサイト「Deeeeeep」の原2コーナーに、勝手ながら寄稿することにしたのである〜。 あくまでもクチクチコーナーへの掲載は拒むものである〜。
 

やっぱりゲンツーでなくっちゃー!