マッハIIIピンポイント整備入門

クラッチ板 とっかえ編

第一日目 後編
自分のガレージで作業することは ちょっとしたことを誰にも聞くことができないし ちょっとそこ持っといて みたいな手伝い
を期待することもできない。 しかし時間は限られつつも 慌てて作業する必要もなく キリの良いところで中断して
こっからはまた来週 とすることもできる。 仕事でやっている訳ではないので 気分が乗った時にすれば良いし 締め切りがある訳でもない。
そんな意味合いにおいては 仕事でやっているプロのメカよりも丁寧な作業かもしれない。



う〜んやっちまった…
こうして見ると クランクシャフトから来た動力がクラッチハウジングに伝わり
フリクションプレートからスチールプレートの摩擦によりつながり これがクラッチハブ
を回し トランスミッションに繋がる構造がよく分かる。
クランクから出たギヤーはオイルポンプのギヤーとデスビ、タコメーターのギヤー
と連結されている。
クラッチカバー(右エンジンカバー)を外すと カバー側にはデスビやオイルポンプの
メカが見える。
この白いギアーは樹脂でできており 見るからに耐久性が低そうである。
もう十年以上前からメーカー欠品らしい。
アルミでリプロすると良いものができそうだが…。
今回用意したバーネットのセット。
フリクションプレートとスチールプレート そして強化スプリングで2万8千円ぐらい
だった。 向こうで買えばもっともっと安いんだろうな。
この段階では スプリングはいらんけどなあと考えていた。
WMに電話したら 翌日着払いで届いた。
この辺のフットワークは絶対よくなったよなあ。
クラッチハウジングは軽量化のために肉抜きをしていない前期型だ。
フリクションプレートは7枚ある。
フリクションプレートはハウジングに固定されており スチールプレートはハブ
(ハウジングの内側にある)に固定してあり この二種類のプレートをバネで圧着
させているのが スプリング(プレッシャー)プレートである。
クラッチを握ることによりスプリングプレートの圧着が緩められてクラッチが切れる
のである。
オイルポンプは カバーごとごっそりと外れる。
かねがねオイルポンプのどこを見てなに用と判断するのかと思っていたが
レバーの部分にH1とか S1とか書いてある。
(時々何も書いていないレバーもある。)
余談であるが S1とKAの吐出量がS1の方が多いことになっており 誤植だと
言われてきたが 小排気量ゆえに回転を上げて走る必要性が高いので多い目に
セッティングされているのかもしれないとも思う。
実際KH250の方が400よりも吐出量は多くできているらしい。
デスビローターシャフトを交換するべく ナットを外す。 初期のローターシャフトと
普及版のシャフトはギア固定ピンの位置が90度ずれているらしい。
これが点火時期にどう影響するのかと色々と考えあぐねながら手を動かす。
シャフトのボルトを外すためには デスビローターを付けて これを手で持って
回り止めにしてボルトを緩める。
ギアーはあっさりと取れた。
長年正確に回転を続けて来たのだろうが まだまだこれからも頑張ってもらうので
丁重に扱う。
この弱そうなギアーが摩耗してくると点火時期がズレて来るかと思うとおそろしい。
デスビシャフトのピンを抜き取り なくさないようにとっておく。
シャフトを プラスティックハンマーで 少しずつ叩いて抜き取る。
デスビシャフト周辺にはベアリングやパッキンなど 魑魅魍魎の部品が圧入してあり
損傷しないように願いつつ叩き出す。
SMにもベアリングに問題が無ければ触らないでそっとして下さいみたいなことが
書いてある。
くわばらくわばら。 ここを壊したら光明寺内燃機に直行である。
無事抜き取られたデスビシャフト。
上が改良前のシャフトで ローターをシャフトにネジ止めする穴が空いている。
改良型と言うか普及型はローターを差し込むだけである。
このシャフトは 映画89撮影の後 フルレストア(というか全修理)をお願いした
モトアートさんが 今後右カバーを外すことがあれば このシャフトに入れ替えて
くださいと送ってくれていたもの。
やっと約束が果たせたなあ。
デスビシャフトのギアーは 少し欠けていた。 しかしまたこれを使って組むしかない。
H2にはデスビが無いが タコメーターとオイルポンプのギアーは同様にこんな
樹脂製である。 力がかからないのでこれで充分だと考えたのだろうなあ。
新旧デスビローター。
今まで付いていたものは 本来合わないものを加工して付けてあったらしい。
左はストックしてあった新品のローター。 これで在庫切れなので メーカーに
注文した。 でないかと思っていたが 出るには出た。 なんと13500円ほどした。
目ン玉 びよよよよよ〜んである。 出るだけマシ出るだけマシと自分で慰める。

長い間お疲れさん!
しかし またいつ必要になるか分らないんで捨てたりはしない。

今日はこの辺にして明日また作業することにした。 数点教えてもらわなければ
ならないこともあり 慌てて進めないことにした。
工具をしまって部品を整理した。

作業開始午後1時半 終了午後5時前で作業時間約3時間半であった。


当然 続く!!




第一日目前編に戻る
第二日目に進む
クラブハウスに戻る