マッハIIIピンポイント整備入門

クラッチ板 とっかえ編

第三日目
さて クラッチ板とっかえも折り返しにかかり あとは組んでいくのみであるので気持ちがはやる。
しかし じっくり腰を落ちつけて取り組みたい。 思えばキャブのセッティングどうこうから始まって クラッチ板が滑るのに
上のセッティングなんてチャンチャラおかしいというところから端を発したんだったなあ。
準備期間は長かったが 思い切ってやり始めてよかった。
6千から7千で滑らなくなったら キャブセッティングに移行できると思うと また楽しみだ。
ハイテンションコードの改良も必須だと思うが トリプルスまでどれだけできるかなと…この頃までは考えていたっけ…。

まずはデスビシャフトを組みつける。
ベアリングに向けて プラハンで コンコンコンと少しずつ打ち込む。
決してガツンといってはダメだ。
斜めに入っていないか慎重に慎重にすすめたが…。
裏側を見てビックリ!
ベアリングが押し出されている! ガビーン! どないしょー!
光明寺内燃機のオイルで汚れたスダレが瞼に浮かんだ。
いやいや 冷静に冷静に。
ベアリングを損傷しないように打ち込んで このベアリングを押さえつつ
シャフトを入れればいいのだ。
腕組みをした光明寺がうんうんと頷いている…。
まずはベアリングを適当なソケットをあてがってそ〜っと打ち込んだ。
するとシャフトがまた反対側で押し出されてきた。
ベアリングを完全に打ち込んで から押さえながらしなくてはならない。
今度はソケットレンチのアダプターを壁に当てておいて シャフトを叩き込んだ。 あくまでも慎重に少しずつ叩く。 何とかうまく入った。
しかしベアリングが抜けてくるとは とほほ…。
SMは例によって逆に組みますだけである(そりゃそうか!)。

おそるおそるギア側を見たが おおバッチリ! 事無きを得た。
ベアリングは衝撃を与えただけで 精度が落ちると聞いたことがある。
ベアリング打ち込みの木製治具があればいいのだが そんなもの
ある訳がないよな。 まあ善処したと言えるだろう。

(注意 ベアリングにシャフト等を挿入する時は プラスチックハンマーで
叩き入れることなく ベアリングやシャフトを軍手で持てる程度に
電気ストーブ等で充分暖めたら 比較的スムーズに入れることが
できるそうです。 でも 直火はくれぐれもダメですよ〜)

ギヤー回り止めピンを入れて 例のすぐ壊れそうな樹脂製ギアーを入れる。
元々はスプリングワッシャーが入っていなかったので 適当なものを入れて
締め付けた。 このトルクのかからないナットで 先のベアリングを押さえて
いる構造 だいじょうぶかいな?と思う。
ベアリングのところは オイルシールとかもあるのだろうが
だんだん不安になったが今更仕方が無い。
やっぱりズブの素人はパニックに対する予備能が低いなあ。
さて いよいよ組み付けるか…。
不安な点は二箇所で 一つは 上手く元の点火時期に収まってくれるか
ということで もう一つはオイル漏れの無いパッキングが出来るか
ということである。
ダイアルゲージはKAには必須工具である。
なぜなら上死点のマークがどこにも無いんで 実際にピストンが上がりきった
ところをダイアルケージで出すしかない。
ダイアルゲージはストレートの輸入工具だが これもアマチュアがちょっと使う
には充分なものである。
値段も手頃だった。 本当はこんなチャチな台に載せてやるべきではないん
だろうが いたしかたなし。
仮にキックペダルを着けてコンコンとクランクを回して上死点を出すのに使う。 クラッチハウジングを手で回すだけでは 微妙な動きを調整できない
のだ。

上死点出しは 当然クラッチカバーを閉める直前にする。
上死点が出ている時に デスビローターをTマークに合わせて組むと
点火時期が合うようになっているらしい。
第一日目のカバーを外す前にアバウトに合わせた時にも
Tマークにほぼ一致していた。
もとのように合えば点火時期もズレないのだろう。

(ピックアップコイルによる点火時期は上死点から25度戻しで
ピストンは3.45ミリ落ちたところで合わせますが
デスビローターのTマークは上死点で合わして下さい。
ごっちゃにならないようにお願いいたします。)

キックとチェンジのシャフトにグリースをうす〜く塗っておくと
液体ガスケットがシャフトに付いて困ることが少ないし
カバーが嵌まりやすくなるらしい。 あくまでも薄く塗布する。
カバー エンジン側の合わせ面をアルコール性のクリーナーで
何回も拭き取る。 油分が残っていると液体ガスケットの効果が半減する。
オイル漏れがするカバーの処理として面出しと同様に大事な過程だ
(と思う)。
ガスケットはメーカーから出た。
有り難いことだ。 ゆくゆくは自作しなければならない時が来るのかもなぁ。
注文する時はいつも予備も含めて注文してしまっている。
二枚頼んだが 結果的には二枚とも使うことになるとは…。
矢は二本持って的を狙ってはならないというが…。
液体ガスケットはかなり吟味して用意した。
田井くんのおススメはこれであった。
他にも何人かが これを薦めたので探して買った。
スワンボンド製も薦める人が多い。
液体ガスケットは 何時まで経っても乾燥しないものとか
半透明のものとか青〜いやつとか色々あって自分では選べなかったのだ。
これはノビも良く 乾燥時間もちょうどよい感じで使いやすかった。
ヘタクソほど液体ガスケットに頼りすぎて 厚塗りするもんだと
バイク屋のオッサンに皮肉を言われたことがある。
ごってり塗ると漏れにくくなる気がするもんだが いかに上手く面出しして
脱脂し 薄塗りで仕上げるかがコツらしい。
厚塗りをすると メカ側にはみ出すしね。 百害あって一利無しらしい。
ガスケットも液体ガスケットも 原則カバー側につける。
ガスケットを乗っけて その上からまた液体パッキンを薄く塗る。
カバー側にガスケットを乗せると カバーを着けようとしている時にずり落ちて
クラッチの上に落ちたりするからだろう。
エンジン側の合わせ面には液体ガスケットを塗るまいと思ったが 金属面に
うまくなじませたいので 殆ど透明になるぐらい指で伸ばして塗った。
オイル漏れがこれで止まってくれと祈る思いである。
デスビローターを マークのど真ん中に合わせてカバーを閉じる。
裏の樹脂ギアーがクランクシャフトの金属ギアーと噛み合わなければ
ならないので 少しずつ軽く指でノックして馴染ませつつ 閉じる。
(間違ってもプラハン等で叩いて閉じないように!)
ウソのように真ん中で収まったが ホンマか疑わしかった(第一日目よりも
数ミリ少し進んだ位置にあるので)ので わざともう一度浮かせて ローターの
角度を少し動かして合わせてみた。
するとこの合わせマークの範囲から出てしまった。
上死点にある時 歯車が一個ずれると完全にこの範囲から出てしまうように
出来ているのだ。 よってきっちり上死点が出ていたら ばらす前と同じ歯車
の位置に合うようになっているようだ。
いよいよケースをネジ止めする。
コツは 時間をかけてじわじわと締めることだ。
決して円周方向にネジを締めていくのではなく 対角線毎に締めていくのが
大切だ。 何回にも分けてちまちまと閉めていく。
実は15分間ぐらいかけて締め込んだ。
一度に締め込むと カバーは簡単に歪んでしまうので要注意だ。
六角ボルトは ネジ頭をナメて回らなくなった記憶があり
極力使いたくないと思っているが 一度に締め込むことをしなければ
(それほど力がかかるネジでない場合は)良いものかもしれない。
本来 このネジはプラスネジであり 強く締めるものではないのかもしれな
い。 心情的には きっちり締め付けたいよなあ。
締め終わってみると 液体ガスケットはこの程度はみ出している。
なかなかベストではないかと自画自賛する。
内側にはみ出したのもこれぐらいなら許容範囲だろう。
ガスケットペーパーは 事前にオイルかグリースを塗っておくと 剥がす時に
苦労しなくてよいと本には書いてあるが 剥がれにくいぐらい密着してくれた
方がありがたいので 乾燥したまま使用した。
オイルポンプ周りを組み立てておく。
ワイヤーを取り付けてから バンジョーボルトを取り付けた方が作業しやすい
かも。 オイルポンプバンジョーや オイルポンプのチューブ合わせ面、ワッシ
ャー類はなるべく脱脂して組むとオイル漏れしにくくなる。
脱脂にはアルコール系のクリーナーかアセトンを使うとよい。 オイルタンクか
らのチューブは緩くなってきており コイルだけではオイル漏れしやすいんで ワイヤーリングしておいた。
午後12時半開始 4時半終了の作業時間4時間。
この日はカミさんも休めと話し 夕食はファミレスへ行った。

どんどん続く!




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