Super Cub C65

 


 

この単車を手に入れた頃は 身の回りがグルグルと変化していた。 
和歌山の辺境の地への長期出張を解かれ、再び大阪が仕事の舞台になったり、以前の文化住宅からマンションに移り住むことに決めたりしていた。  


仕事やアルバイトはいずれも片道10キロ程度であったが、ロッカールームがないために制服(といっても白いジーパンだが)と靴を替えることができなかった。 
マンションはありがちな事だがトラの子の単車も殆ど放置状態の自転車もゴタ混ぜに停めなくてはならなかった。 
なにか新しい単車を手に入れてみようかと思うのは いつもそんなちょっとした生活の変化が出たときかもしれない。 
そんなこんなで 若干無頓着に乗っても構わない一台を手に入れようと思い立ったわけだ。


チョイ乗りにも使えて仕事の足としても稼働率が高くて靴やズボンが傷まなくて盗まれにくいもの。 さらにはスクーターよりもチャチでなくてタフででも多少乗り味のいいもの、そして、そこそこスピードが出てキップを切られないもの…とだんだん欲がでてきた。
こんな都合のいい究極の下っ駄(ゲッター)はカブしかないと暫くして気付いた。


今回は手っ取り早く“店もん”で行くことに決め、カブ系の在庫修理販売に強い重野モータースに足を運んだ。店では100ccのThaiカブと12ボルトのカブ90、C101と呼ばれる55ccOHVカブとC65が用意できると言う。

Thaiカブとカブ90が最も実用的だと思われたが逆に完成度が高くて面白みに欠ける気がした。特にThaiカブは走行距離も短いので結構イイ値段がした。
C101は古カブマニア涙もんのOHVエンジン車である。 たまに5.60キロ程度でゆっくり流すのならヨイかもしれなかったが大阪の道路でクルマと渡り合うには非力過ぎた。それよりもそんなレアもんをゲッターにするとマニアさんに睨まれそうな気がした。 

C65はOHC70ccシリーズの元祖エンジンであり 50よりも当然パワーがあり、90よりも吹けあがりが軽く早い。 
アクセル全開で大阪の街を駆けるのに最適であると考えた。何よりも自分よりイッコ若い(1965年型)朽ちた単車に再びカツを入れるのも愉快な気がした。
重野モータースのおじさんの話しでは C65は不遇なモデルであるという。カブマニアはOHVに血道をあげるので目を向けられないし、ハヤリを求める世代には免許がネックになるらしい。外観はOHVに近く 且つスペアー中古パーツは多数在庫しているとのことで願ったり叶ったりであった。


店から乗り出した時は 目にもみすぼらしかったが主を得たボロ単車は生命感を取り戻していった。いつもそうだが、放置?車両はワイヤーのオイルアップでウソみたいに操作性が良くなった。 キャブはヘボメンテでも確実に良くなるポイントだが いつも初めて開けたときは(あまりのヒドさに)不安と後悔で一杯になったものだ。
 
穴の開いたシートは 雨の日は不愉快の極みなので 雑誌の売買欄で輸出用ダブルシートを手に入れ装着したが これがすこぶる快感で気軽に東南アジア気分を味わうことがデキルようになった。

メーターと穴の開いたマフラーはカブマニアの方に提供していただいた。 これで再出発したC65は刻々と距離を刻むようになった。
マフラーは 殆ど新品のマフラーに換えても バタバタと元気な音を響かせた。 穴が開いていても いなくてもいっしょだった。

 


さて 街中の走りっぷりであるが、トップスピードは80キロほどは引っ張ることができる。 信号ダッシュでは50スクーターに置いて行かれるが アクセル全開でゆっくり5秒数えるぐらいで75キロぐらいに達するので余裕で抜き返すことが可能である。
アクセル ウインカースイッチ フロントブレーキは右にあり 左手はハンドルに添えるのみである。川原に楽器の練習に行く時は 出前のオカモチよろしくケースをさげて走ることも可能である。
たかがカブと笑うなかれ。 ライフスタイルによっては充分理想の原2なのである!

 

 

やっぱりゲンツーでなくっちゃー!



 
追記
 

このC65であるが、はるばる横浜!より譲ってほしいと言う原2野郎出現!
せっかくの連番黄ナンバー3兄弟に早くも崩壊の危機迫る!(CB日記・6でレポート)